アンケート結果

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組織・団体名 日本ヨーガ療法学会 認定ヨーガ療法士会・宮城(一般社団法人)
所在地 〒980-0065
宮城県仙台市青葉区土樋1丁目10番6-606
設立年月 2003/4
TEL/FAX 022-224-6479/022-224-6479
HP http://yt2003miyagi.jimdo.com/
アンケート記入日 2015/1/12

活動報告

メンタルヘルス支援活動を開始した時期を教えてください。(選択制) 発災1週間後〜1ヶ月の間
メンタルヘルス支援活動の頻度を教えてください。
(選択制)
月に1〜3日
メンタルヘルス支援活動を終了した時期を教えてください。(選択制) 現在も続けている
メンタルヘルス支援の支援対象者・活動場所について教えてください。 支援の対象としている年代(選択制) 特に対象はしぼっていない(※活動場所に訪れた人全て)
支援対象者の属性
(選択制)
特に対象はしぼっていない(※活動場所に訪れた人全て),教職員,支援者
活動場所(選択制) 避難所,応急仮設住宅,中学校,高等学校
【具体的な内容】
被災2週間後から、避難所に当てられている小、中学校や市民センター数十箇所を回り、状況の把握から始めた。石巻方面では(例えば、市役所などは、)役所の一部が避難所に当てられていて、自治体の職員の疲弊が目立っていてすぐにでもヨーガ療法をしたいという声もあったが、時間、場所などの確保が出来ない状況であった。
小・中学校などが避難所に当てられているところは、被災直後は校長先生や教頭先生が対応してくださる所もあり、子供たちも悲惨な状況を目の当たりにしているが、スクールカウンセラーの派遣もままならない状況であることなどを知らされた。
その後、他の自治体の職員が応援に来るなど刻々と状況が変化し、避難所の統廃合もあり、活動を開始すること、また継続していくことの難しさを感じていた。
福島県のあづま運動公園に非難している方たちへの支援の手伝いや、下記の場所への情報収集や(受け入れ態勢が整わず状況視察のみの所や短期間で閉鎖の所、ボランティアの受け入れを行っていない所もあった)支援活動を行ってきた。
七郷小学校・若林体育館・東松島大塩市民センター・仙台市六郷中学校・名取市増田小学校・増田西小学校・名取市第1中学校・館腰小学校・名取市文化会館・幸町小学校・幸町南小学校・田子市民センター・高砂市民センター・塩釜市公民館・岩沼保健センター・石巻市河北総合センター・東松島市コミニティセンター(矢本)・特別養護老人ホーム春の森から・東松島市小野市民センター(矢本)・気仙沼階上中学校・亘理町公共ゾーン仮設住宅第3集会所
岩沼市里の杜仮設集会場(西・東) など
メンタルヘルス支援活動に関わっているメンバーの構成を教えてください。
(選択制)
保健師,看護師,その他(アロマセラピスト・音楽療法士)
【具体的な内容】 統合医療学会の活動として老人介護施設などに行かせて頂いたときは多職種の専門家と一緒に活動することもあった
東日本大震災における貴団体のメンタルヘルス支援の活動地域を教えてください。(選択制) 宮城:仙台市,気仙沼市,名取市,多賀城市,岩沼市,登米市,東松島市
貴団体のメンタルヘルス支援活動について教えてください。 活動内容を教えてください
  1. ヨーガ療法の支援は肉体を使いながらのメンタルヘルス、自己存在にかかわるような部分までを扱っていくものであるといえる。
    私どもが行っているヨーガ療法とはヒマラヤの山中で4500年以上も前から行じられている伝統的なヨーガを土台に一般の人々の健康増進や病気の予防、特にメンタルな面での健やかさを実現するために貢献できるものとして、調査・研究が進められてきている。
  2. セルフケアとして自分の肉体以外何も必要としない。
    ヨーガ療法は療法士の指導の下で大勢でも行うことが出来るし、セルフケアとして自分ひとりでも行うことも出来る健康法である。広いスペースも一切の道具も必要としないので、避難所でも問題なく行うことが出来た。
    震災後間もなくDVDを無料で配布し、2014年には改良を重ね第2弾“アイソメトリック・ヨーガ”も作成しこれも被災地には無料で配布してきた。
    私たちが行かないときでも、集会所に集まりDVDを見ながら行うことも出来るよう試みた。
  3. 支える側の職種へのサポート
    毎年夏には宮城県の教職員のための“ストレスコントロール・セミナー”も担当させていただいているが、教職員やコメディカルといった、日頃サポートする側の人たちへのサポートがいかに大切かを痛感している。
    岩沼市の保健センターで震災後に看護師、保健士などを対象とした支援を行い、東松島市に出来た施設でも看護職を対象にした支援を行った。
  4. 仮設住宅での支援。
    岩沼市里の杜の仮設住宅での支援活動はすでに50回になるが、毎回フェイススケールや、皮膚温度計による実施前後の変化測定、その他のバイタルチェックなども行っている。
    終了後は必ずお茶を飲みながらの傾聴ボランティアも欠かさず続けている。最初のころは被災したときの話が話題の中心であったが、話の内容も仮設に入ってから日々の生活を送る上での問題点が時系列的に変化していった。
    家にはまだ畳が入っていない、隣の家との間の屋根に隙間があって外が見える、地区によって付いている電化製品に差があるという内容だったものが、近所づきあいにも少しずつ慣れてきて、時には幽霊の話になったり、食べ物の話で盛り上がったり、何気ない世間話をしているようなこの時間が本当の意味での支援に繋がっているように感じられる。コミュニティー作りの一環にもなっているように思われるし、引きこもりがちな人にも何か手仕事をしてもらい、そこで作ったものを引き取り、全国にいるヨーガ療法士を通して必要な人に買ってもらうといった支援もしてきた。
活動詳細(選択制) 傾聴,心理教育,支援者支援,健康調査,健康法指導,研究・情報収集,普及啓発人材派遣
支援活動の特徴を教えて
ください
厚生労働省の統合医療の分野でもヨーガ療法は“心身相関” に分類され支援の主な内容としてはアーサナといわれる体を使うものに加え呼吸法や瞑想法なども指導している。 今では身体のみの健康法としてではなくメンタルな面からもその効果は確証されつつある。震災後、時間の経過とともに落ち着きを取り戻したころ、突然表面化してくるトラウマなどに対しても、身体を味方につけ、過去の苦しみから“今、ここ”に引き戻す訓練を積んでいくことで克服していくというのが今では世界中で主流になりつつある。(ボストンのトラウマセンターではベトナムからの帰還兵へのサポート、レイプ、殺人に絡んだような様々な症例を扱っていて、ヨーガが問題を抱えた人たちにとても効果的な治療法・・《日本では医療者以外が治療という言い方はできないが》であるとしている。)
これから徐々に表面化してくるトラウマについても先のボストントラウマセンターから専門の講師を呼んで勉強会も行ってきた。
また、認知の誤りが様々な苦しみを作り出してしまうため、傾聴を通してアセスメントを行い ヨーガの智慧をそれとなく伝えることで、認知を変えていくということも行っている。
肉体の面からはアイソメトリックを取り入れた内容になっているため、筋肉トレーニングにもなり、避難所でのエコノミー症候群やロコモーティブシンドローム防止にも役立っていると思われる。
筋肉の緊張と弛緩を意識化することで脳の機能が促進され自律神経の働きが整ってくることも脳の差分解析により解明されてきている。
支援活動の成果を教えて
ください。
狭いスペースに閉じこもり、足腰が弱っていく高齢者には軽い負荷がけの動きがとても効果的であると思われる。
定期的に支援活動はしていても、月1回ではあまり効果が期待できないと思っていたが、継続してきている方には変化が現れてきているようだ。
また縮んで硬くなった体を伸び伸びと動かすことは心身の開放にも役立つ。
体を動かすときも無意識に動くのではなく呼吸と連動させたり、アイソメトリックで負荷をかけるときには声を出してもらい、息を止めてしまうことによる血圧の上昇や無理な負荷がかからないようにしているため、とても効果的な筋トレにもなっている。
また、体にかかる緊張と弛緩も意識化していくように指導していくので、肉体を通して心に働きかけていくものであるという実感を掴むことが出来るようである。緊張していたことに気づくことで体がリラックスし、ざわつく心が鎮まってきた また、ヨーガ療法を行った日はぐっすり眠られる、不安感が減ってきたという感想はよく聞かれる。
貴団体が行った支援活動の中で世界に広く共有したいと思うことがあれば教えてください。 2015年にはヨーガを世界遺産にという動きも出てきているようであるが、ヨーガそのものは元々ヒマラヤの山中で行われていた心身の統一を目指す修行法で、過酷な自然条件の中で行じられてきたものであり、かなり厳しい状況にあっても身一つで実践していかれるという強みがあります。
今回の震災でも生活の基盤となるインフラが機能しない中、避難所で寒さに震えていた人もヨーガ療法実習後は体も温まり精神的にも静かに落ち着くことが出来た、あるいはやっと我に返ることが出来た、静かに呼吸をすることで今まで息をしていなかったような気がする、生き返ったようだ、という感想を頂きました。
今 生かされている命の尊さに気付く人もいました。
今まで当たり前にあった全てのものを一瞬にして奪われ、衣食住もままならない状況の中、自己存在の意味さえ見失いそうな時、それでも自分を支えてくれている何かに気づくこと、こんな時であるからこそ人としての尊厳を失ってはいけないという事を強く感じました。
避難所となった体育館の片隅にぽつんと坐っていたご老人の口から、自分が助かったことに対する罪悪感に苦しんでいたけれど、自分を助けようと手を差し伸べてくれる見ず知らずのボランティアの人たちに接しているうちに死んでしまいたい気持ちに変化が出てきた。孫たちのためにもみっともない姿をさらすわけには行かない、という話を聞きました。
日本には“情けは人のためならず”という諺があります。人に手を差し伸べることは自らを救うことにも繋がってきます。
行動を起こすか起こさないかは個人の考えに基づくことではありますが、無関心であってはならないということを強く感じました。
貴団体のメンタルヘルス支援活動の課題・問題点を教えて
ください。
被災直後、DMATが入っているような緊急事態では私たちに出来ることは何もないと感じています。
しかし、急性期が過ぎた後は出来るだけ早い時期に支援を開始したいと思いましたが、避難所の管理の仕方が様々で、ヨーガを知っている管理者がいるところでは、すぐにお願いしますとその場で即支援が出来るところもありましたが、中には外部からの人を入れないとか、ボランティアお断りといったところもあり、医療関係者のようにスムーズに入っていくことが出来ないということもありました。
また、時々“心のケアお断り”という張り紙が張られている所もありましたが、
にわか仕込みのカウンセリングなどで、心の傷に触れるようなことがあったのでしょうか。
ヨーガ療法の場合は肉体を使いますので体操のように思われるのか、中にはラジオ体操をしているから体操は要らないと言われてしまった事もありましたが、何度も言うように体を使いながらもっと深いところに自分で気付いていくという手法をとりますので災害時などは積極的に活用して欲しいです。
貴団体が考える被災地域全体のメンタルヘルス支援活動の
課題・問題点を教えてください。
今は仮設住宅の集会場で支援活動を行っていますが、中にはすでに自宅が完成し、そこから仮設の集会場に通ってきて下さる方もいます。 仮ではあっても3年近く過ごしていたところからまた新たなコミュニティーに 入っていくということは、高齢者にとっては大きなストレスになります。 せっかくの新居で、一人取り残され、仮設のほうがまだ良かったということも有り得ます。 岩沼でも、皆さんが新しく移転する地域の集会所で継続したいというので、下見をして来ましたが、2月になっても集会所が出来上がらないという状況で話が頓挫しています。  今後、箱物が出来たとしても管理、運営の問題なども出てくるでしょう。 支援する方もマンパワーの問題や今までずっと無償で支援してきましたが継続が負担になってくることも考えられます。 ヨーガ療法の有効性については、いくつかのランダム化比較試験に関する論文も出てきていますし九州大学の岡孝和先生の研究発表にも見られるように(http://okat.web.fc2.com/page02_04_2.html)科学的に証明されてきています。 医療関係者の中でも積極的に治療の一環としてヨーガ療法を取り入れる動きもでてきています。 統合医療の中でもヨーガ療法は使い勝手のよさ、安全性(有害事象についても 厚生労働省の支援の下で全国一斉に調査が行われ、その結果は九州大学から発表されている。) 心身両面にアプローチできるものとして高い評価を得ている。今後の大きな課題としては、ヨーガ療法を医療関係者にもっと理解していただき、ともに活動できる場を広げて行きたいと考えている。

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