活動報告

市民のためのサイエンス講座2012「3・11後の心と体〜被災地のヘルスケア〜」で講演しました。 (2012年12月20日 )

富田博秋・東北大災害科学国際研究所教授「回復過程の見守り重要」 

災害に直面すると、ストレスでアドレナリンやステロイドホルモンが放出され、自分を少し離れて見ているような感覚になる「解離」などが起きる。少 し時間がたつと、当時を繰り返し思い出し、心臓がドキドキしたり手に汗をかいたりする。それらの症状は、次第に記憶が「消化」され、苦痛が軽くなるまでの 過程で現れる自然な反応で、必ずしも悪いものではない。

 家族などを亡くした悲嘆から回復するまでの過程は人それぞれだが、一般的には、最初は実際に起きたことが信じられない「ショック期」、次に現実と して受け入れる 「喪失の認識期」が訪れる。その後、人と会ったり話したりするのが煩わしくなる「引きこもり期」に入る。この時期は免疫力が低下しがちで、 疲れやすくなったりする。回復の過程と認識し、周りも無理に外に引っ張り出したりせず見守ることだ。

 その後に「癒やし期」が訪れ、自分が生き残ったことに対する自責の念などに整理がつくようになる。回復のためには、まず、食事や睡眠を十分に取り、飲酒を控えるなど、体の健康に気をつけること。人とのつながりも大切だ。周囲は無理強いせず、「話したければ、いつでも話して」という姿勢でいてほしい。

(2013年1月10日  読売新聞)

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