研究室

富田博秋教授紹介

富田博秋教授ごあいさつ

富田博秋教授写真

 災害は突然起こり、生命の危険を脅かされる、親しい人、家屋や仕事を失うという強度のストレス体験を一度に多くの方に強い、また、その後の生活環境の変化からくる様々なストレスを引き起こします。これらのストレスは精神面に大きな影響を及ぼし、更に精神面への影響を介して身体や社会生活に大きな及ぼすことが知られています。また、今回の災害は多くの精神医療機関や精神保健にかかる自治体や各種機関の機能を麻痺させ、患者さんの移送、医療情報の流出、医薬品・物資・情報の確保などの課題への対応が必要となりました。災害精神医学分野は、東日本大震災で被災された方の精神面の影響を把握して支援の体制作り、被災された方の健康増進に貢献するという役割、また、今後の災害に備えて適切な対策を行うための知見の集積、技術の開発、国際レベルでの情報の共有化を進める役割を担っていきたいと考えています。
 また、大災害の後にはうつ状態や心的外傷後ストレス反応に苦しむ方が多く顕れることが知られています。しかし、うつ状態や心的外傷後ストレス反応の本態については依然、不明なことが多く、そのために適切な対応がなされていない面が大きくあります。一方、東北大学には東日本大震災以降、ゲノム医学を始めとする最新の医療技術に基づく次世代の医療体制の構築を行うための国家プロジェクトとして、東北メディカル・メガバンク機構が発足しており、災害精神医学分野では、メンタルヘルスの観点からこの事業に参画しています。災害精神医学分野は、ゲノム医学や脳科学領域の最新の研究手法を駆使して、うつ病や心的外傷後ストレス障害を始めとするメンタルヘルス不調や精神疾患の予防・診断・治療技術の開発を目指しています。

プロフィール

プロフィール

富田博秋
災害科学国際研究所 災害医学部門/
医学系研究科/
東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 /
災害精神医学分野

経歴
平成元年4月〜 岡山大学医学部卒、同大学神経精神医学教室入局
平成7年3月 岡山大学大学院博士課程修了(医学博士)
平成9年4月〜 長崎大学医学部人類遺伝学教室・助手
平成12年1月〜 カリフォルニア大学アーバイン校医学部生理学講座・研究員
平成14年7月〜 カリフォルニア大学アーバイン校医学部精神医学講座助教授相当研究員
平成18年8月〜 東北大学大学院医学系研究科 精神・神経生物学分野・准教授
平成24年4月〜 現職
所属学会

日本精神神経学会・災害支援委員/学会誌編集委員
日本生物学的精神医学会・評議員/うつ病研究推進WG副委員長/将来計画委員/ブレインバンク委員
日本精神神経薬理学会・評議員
日本統合失調症学会・評議員
日本精神行動遺伝医学会・評議員
日本人類遺伝学会・評議員

國井泰人准教授紹介

國井泰人准教授ごあいさつ

國井泰人准教授写真

 我が国は、その位置や地形、地質、気象等様々な国土を形成する自然条件から、地震を始めとして津波、台風、洪水など様々な自然災害が発生しやすい、世界にも類をみない災害大国です。古くから大地震、大津波などの記録が存在しますが、我が国において災害時あるいは災害後の心のケアの必要性が認識されたのは、比較的最近の阪神・淡路大震災の後になります。その後の新潟中越地震、東日本大震災等の経験を経て災害時のメンタルヘルスの重要性は広く認識されるようになり、今日の体系だった学問として災害精神医学が構築される上での礎となっています。そして東日本大震災後10年という大きな節目を超えた現在、私たちは新型コロナウイルス感染症による特殊災害に見舞われています。これは、これまで経験した如何なる自然災害よりも甚大な社会的混乱を引き起こし得る、未曾有の公衆衛生上の危機であり、今後長期にわたって様々なメンタルへルスの問題を生むことが懸念されています。このメンタルヘルス危機に対しては従来の精神医療の体制や方法論では対応が困難と考えられ、いわゆる「With/Postコロナ」の社会におけるニューノーマルなメンタルヘルス対策システムが求められます。災害大国である我が国の経験を活かし、世界に先駆けて対策システムを創出するには、 ニューノーマル時代の脳科学やAI技術を活用した科学的エビデンスに基づくメンタルヘルス対策の実現が不可欠であり、それに寄与することが災害精神医学の使命と考えます。

プロフィール

プロフィール

國井泰人
災害科学国際研究所 災害医学部門/
医学系研究科/
東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 /
災害精神医学分野

経歴
2001年3月 福島県立医科大学医学部卒業
2001年5月〜 福島県立医科大学附属病院 神経精神科(研修医)
2008年4月〜 福島県立医科大学附属病院 心身医療科(副病棟医長)
福島県立医科大学 神経精神医学講座(助教)
2010年3月 福島県立医科大学大学院医学研究科 分子病態医科学専攻博士課程修了(医学博士)
2011年5月〜 米国国立衛生研究所(NIH) 特別研究員
2012年2月〜 東京都健康長寿医療センター研究所 協力研究員
2012年6月〜 福島県立医科大学 神経精神医学講座(助教)
2013年4月〜 福島県立医科大学 神経精神医学講座医局長、外来医長
2013年10月〜 福島県立医科大学 神経精神医学講座(講師)
2016年4月〜 福島県立医科大学会津医療センター 精神医学講座(准教授)
2020年4月〜 現職
所属学会

日本精神神経学会・災害支援委員会委員/専門医/指導医
日本生物学的精神医学会・評議員/ブレインバンク委員会副委員長/学会誌編集委員会委員
日本統合失調症学会・評議員
日本老年精神医学会・専門医 /指導医
日本神経病理学会・ブレインバンク委員会委員
日本神経精神薬理学会
日本社会精神医学会
日本神経精神医学会
日本児童青年期精神医学会
米国神経科学会

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