研究

教育について

 災害精神医学分野では東日本大震災で被災された方々のメンタルヘルスの実態把握やメンタルケアの在り方の検討、災害ストレスによるうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神神経疾患の病態の解明、治療法の開発への貢献を目指しています。大学院生には基礎的な知見の発見のみならず社会への研究の還元の重要性を自覚し、自ら考え行動する研究者の育成を目指して指導を行いたいと考えています。
 研究テーマは、教授やスタッフが進めている研究テーマや具体的構想と、その人が持っている希望、能力と技能、進路希望などとを考慮して話し合った上で決定します。研究指導はスタッフの他、上級学年の大学院生も行います。
 修士課程の場合はまず国内の学会で発表することを目標にします。博士課程の場合は、国内学会はもとより外国の学会において英語で研究発表することを目標にします。(参加学会はこちらから御確認下さい。)
 更に、定期セミナー、勉強会、日々のディスカッションやデータ報告などの議論を通じて、確かなコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力の向上に努めます。
 原著論文作成は修士課程の場合は必ずしも修了条件ではありませんが、研究成果が十分であれば原著論文を仕上げることを目標とします。博士課程では博士論文が修了の条件ですので、原著論文の作成を指導します。

 調査や実験の手技ができるようになることは、精神医学や神経科学を含む生物学的な研究を進めるために「必要」ではありますが、それで「十分」ではありません。研究を行うために最も重要なことは、研究の背景を理解して、その研究の目標や目的を明確に定めることです。自分の研究に関する論文は実験を始める前に最低限頭に入れて、十分に吟味することが大切です。さらに、主要な学術誌を定期的にチェックし、新しい研究成果をいち早く知ることも重要になってきます。
 実験手技はマニュアル通りに行えば誰にでもできるはずですが、往々にして上手な研究者と初学者とでは実験結果に大きな差がでることがあります。実験が上手な研究者になるためには「行っている操作の根拠をよく考え、実験計画をきちんとノートに書いてから操作に移る」、「実験操作の手際を考えて、実験台の上を使いやすいように整理整頓する」、「次の実験の準備や終わった実験の後片付けをこまめに行う」、「失敗したらその原因を解明するために文献を参考にしたり他の人と相談したりしながら検討する」、「困っている人をみたら極力助け、知識を共有する」などのことが大切です。

 東北大学では頻繁に学術的なセミナー等が開催されています。是非興味のあるセミナーには参加してください。自分から進んでセミナー等に参加する人や先輩や同僚と情報・意見の交換する人、実験などでよく体を動かす人、活発に意見交換・ディスカッションを行う人、後輩の面倒をよく見る人は、その経験に見合うだけの研究に対する見識が広がり、自分自身の研究を発展させることに繋がると思います。

 本研究室は、医学部だけではなく、多様なバックグラウンドを持った教員・スタッフ・学生で構成されています。現在までに所属した教員・学生の出身学部は医学部/薬学部/歯学部/獣医学部/農学部/理学部/文学部・教育学部(心理学)など多岐にわたっています。卒業後に臨床や医歯薬産業分野に戻られる、あるいは海外留学を含めて国内外の他の研究施設で研究を続けられるのも自由です。研究を続けられる方々は、卒業後に移られた研究施設で当教室と共同研究などの連携ができれば理想的です。各人の希望に沿う進路に進めるよう最大限支援できればと思います。

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